今回はご自身の「トラブル肌」や「産後うつ」の経験がきっかけでメイクアップアーティストの道を選んだ星泰衣（ほし やすえ）さん。女性の内外面の魅力を引き出し、「人生を変えるメイクアップアーティスト」と呼ばれている星さんに仕事への想いを聞きました。

「自分には生きる意味がない」と自信をなくしていた時期

メイクアップアーティストの道に進んだのはなぜだったのでしょうか。

実は、私自身の結婚式がきっかけなんです。高校、短大時代と若い頃からニキビができやすく、トラブル肌にずっと悩んでいました。 メイクをしてもらったところ、鏡の中の自分の姿にとても驚いて…。その時の感動が後の自分を後押ししてくれました。 新婚生活、出産を経て「産後うつ」にかかったのは31歳の時でした。ホルモンバランスの急激な変化と、子育てや家事に追われる生活に、徐々に自分を見失っていったのです。子どもが泣いているのに、何もできずに一緒に泣く毎日。 「生きる意味がない」「自分は母親失格だ」と思っていました。でも、「なんとか変わりたい」という思いだけはありました。 どん底の時期、ふと結婚式でプロにメイクをしてもらったことを思い出したのです。一瞬で、見違えるように変身した自分を。 「少しキレイになるだけでもいいから、メイクを学んでみよう」と思い立ちました。

『セルフプロデュースメイク』の誕生

どのようにメイクを学んだのでしょうか

育児の合間に、規模の小さなメイクスクールに通い始めました。私にとっては何もかもが新鮮で、楽しさにどんどん引き込まれていきます。そんななかトップアーティスト「嶋田ちあき先生のメイクスクール」を見つけたのです。まだ新潟に住んでいた頃で通うことができず、通信教育からのスタート。その後、夫の転勤で関東に移住し、スクールに通って知識、技術を深めていきました。同時に、講師としてサロンでのメイクレッスンも担当するようになったのです。

星さんが作られた『セルフプロデュースメイク』はどのように生まれたのですか。

メイクレッスンを始めて驚いたのは、みんな顔が違うこと。当たり前ですよね（笑）。 これまでの経験も現在の環境も、これからの夢もみんな違う。なりたい顔もそれぞれの理想があると知りました。 そして、一つの疑問が湧き上がったのです。私はいつも「目の前のお客様の人生がこの瞬間から輝きますように」と思いメイクをしてきましたが、「そもそも人生ってなんだろう？」と。 心理学などの勉強を始めて、改めて抱いたのは両親や家族への感謝の気持ちです。それまでは、何か嫌なことがあると環境や他人のせいにしてしまうことがありました。深く自分に向き合うことで、自分は愛されていることに気づけたんです。 そして私だけでなく全ての人が、家族や大切な人に愛されている素晴らしい存在であると実感しました。そんな素晴らしい方々に、私は誠実さが足りなかったのかもしれない。メイクで人のお役に立ちたいと願いながらも、自分のしたいメイクをしているのではないか？ と、反省しました。それからは私に足りなかったものを忘れないように、『愛・感謝・誠実』の人生理念を掲げています。 そして、目の前の人が真に求めているメイク、自分を好きになり「生まれてきてよかった」と思えるほどのメイクを一緒に考えたい、幸せのお手伝いをしたいと思うようになりました。 こうして誕生したのが「セルフプロデュースメイク 」です。お客様からは「こんな自分に出逢いたかった」とおっしゃっていただいています。

「自分には生きる意味がない」と自信をなくしていた時期

『セルフプロデュースメイク』への星さんの想いを教えてください。

女性には、人生の中でたくさんの役割があります。
娘、友人、恋人、妻、母など、人や家族の中での役割や、職業としての役割もあります。
どの役割も、人生の中で大切な1シーン。 「今日は、何をしますか？」、「誰と過ごしますか？」、「どんな気分でいたいですか？」と、何気ない話しから「暮らしの中の自分」をお客様にイメージしていただきます。 そして、少しずつお客様の心に近づいていきます。「理想の女性像は？」、「将来、どんな自分になりたいですか？」 私との会話を通して、お客様が思い描く「目指す自分の姿」を、お客様自身で見つけていただく。見つかったその姿は、お客様がセルフプロデュースした自分の姿に他なりません。私はそれを、メイクを使って現していきます。これが「セルフプロデュースメイク」です。 メイクをプロデュースすることは、生き方をプロデュースすること。今はまだ理想の自分でなくても、先に未来を思い描いてメイクで表現します。そしてなりきるんです（笑）。 周囲の人は「きっと、あなたは理想通りになれる」と信頼して応援してくれるでしょう。もしも自分が自信を失いかけても、鏡の中に「目指す自分」を見つければ、「大丈夫！」と自信を取り戻せます。そうして夢の実現を加速させていけるのです。
「あなたは3年後、5年後、10年後にどんな自分でいたいですか？どんな顔を自分にプレゼントしてあげますか？」。あなたを幸せにできるのはあなたしかいません。 メイクで女性は外見だけでなく内面も変われます。私はメイクを通して「女性の人生を幸せにしたい」のです。

「自分には生きる意味がない」と自信をなくしていた時期

これからの夢や目標を教えてください。

「自分を幸せな感情で満たして、あふれ出るくらいの幸せを周りに注ごう！周りの人だけでなく社会を幸せにできるほど自分を幸せな感情で満たしていこう」と、いつも生徒さんへ伝えています。
例えるなら、「シャンパンタワーのてっぺんの女性」です。てっぺんのグラスからまわりのグラスへとシャンパンが溢れ出すでしょう？ 自らが美しくあり、幸せにあふれ、周囲の大切な人を幸せにできる人を増やしていけたら、社会は良くなっていきます。 今後の目標は日本セルフプロデュースメイク協会を「満足度・幸福度で日本NO.1のメイク協会にする」こと。 素敵な女性へと変わるきっかけを、今後も提案していきます。かつて私が、変化のきっかけをメイクからもらったように。